【切ない恋愛話】涙腺崩壊…!とにかく泣ける恋愛エピソード集

  • 切なくて泣ける恋愛話③どうして生徒じゃないの?

    あれは私がまだ高校生だった頃のことでした。私の通っていた高校は、共学の公立高校で、入学してしばらくすると恋人が出来る生徒も多く、皆、楽しそうな毎日を過ごしていました。私もそんな高校生活を期待していたのですが、残念ながら私にはその期待は現実のものにはなりませんでした。

    私が好きになってしまったのは、高校の先生だったからです。

    先輩の中には密かに先生との愛を育んでいた人もいたようですが、私にはそんな器用な恋愛なんて出来ないと諦めていたのです。遠くからいつも先生を見つけては胸の奥がトクンと鳴り、苦しくなる日々でした。

    どうして先生なの?どうして生徒じゃないの…?

    私のその気持ちは日ごとに増していきました。好きだという気持ちがどんどん大きくなっていったのです。先生の担当している国語は必死で勉強し、テストのたびに分からないところがあるからと先生を捕まえ、話すチャンスを作っていました。

    突然のチャンス到来!?


    1学期が終わり、夏休みに入ってからも私は夏期講習や自習を理由に高校に通いました。先生たちの出勤日が分からなかったので、当然先生がいない日もありましたが、逢えた時には本当に嬉しくて、心臓の音が外にも漏れているのではないかと思うくらい胸が高鳴りました。

    その夏休み中に、私にとってのチャンスが訪れたのです。夏期講習最終日に、講習が終わった後、ひとり教室に残り自習をしていると、「なんだ?まだ帰らないのか?講習終わったから冷房切るぞ」と、教室のドアを開けながら先生が私に声を掛けたのです。

    周りには誰もおらず、先生が来るなんて予想もしていなかった私は、その声に驚き、思わず立ち上がってしまいました。その拍子に机までひっくり返してしまったのです。

    「おいおい!大丈夫か?悪かったな、驚かせて…」

    先生は慌てて私のもとへと来てくれて、机を元に戻してくれました。その距離が近すぎて心臓が破裂しそうなくらいドキドキしてしまいました。

    避けるなんてするわけない!


    「あ、大丈夫です!すみません!すぐ帰りますから…!」自分の声がひっくり返ったのが分かったが、私はそう言うと机から落ちてしまった教科書やノートを拾うと雑にカバンに入れ始めました。

    慌てて机の迷路をすり抜けようとしたせいで足が引っかかり、今度は机ではなく私がひっくり返ってしまったのです。先生は慌てて私のもとに来てくれました。

    「そんなに俺を避けるなよ。悲しくなるだろ?」先生は私の腕に自分の腕を回して私を立たせながら言ったのです。

    避けてない!避けるなんてするわけない!むしろこの腕をほどかないでほしいくらい…!

    心の中では何度も繰り返し言っているのですが当然声に出せるはずもなく、私は無言で立ち上がるとその場に立ち尽くしてしまいました。

    この想いを伝えてもいいのかな?


    黙ったままの私に先生は、「どした?あっ!膝とか打ったか?」そう言いながら私の膝を覗き込んだのです。

    膝ではなく打ったのは心です、先生に打たれましたと言ってしまおうかと思うくらい私の心は暴走寸前でした。

    完全な片想いなのに、想いを伝えたところで断られるだけなのに…、それでもこの想いを伝えてもいいのかな?と自分に都合のいい解釈を始めていたのです。先生は私の気持ちになんて気付いていないのだから、いきなり告白されたって困るだけ。

    そう分かっているのに…、なぜか今がチャンスだと勝手に思ってしまった私は心を決めました。

    想いを伝えてしまった


    「大丈夫です。あの先生…」膝を覗き込んだ状態から顔だけ上を向き私を見る先生に、「あの…先生…」と、続きを言えない私に今度は体勢を戻した先生が心配そうに声を掛けてくれました。

    「何か言いたいことがあるのか?ここのところずっと俺を見つけては何か言いたそうだったよな?分からないところでもあるのか?」と。私は今日を逃したらもうずっと想いを伝えられないのではと思い、

    「………ずっと先生が好きでした」

    私の言葉を顔色ひとつ変えずに、いや、正確には驚き過ぎて固まったように私をまっすぐ見る先生を見て、私はなんてことを言ってしまったのかと後悔しました。先生が困っているのだと直感したからです。

    「ごめんなさい!私、帰ります…!」

    私は慌てて教室から飛び出しました。あと1週間で夏休みが終わり通常の学校生活が始まると言うのに、私は自ら先生を直視できない状態にしてしまったのです。

    気が重い新学期


    夏休みは無情にも終わり、新学期が始まってしまいました。私は重い気持ちのまま登校していたのですが、校門が近付くにつれ更にその足取りは重たくなり、校門を目の前にしてついに足が前に出なくなってしまいました。

    「………帰ろうかな…」

    私は呟き、高校に背を向けました。一方的に告白してしまい、先生には一言も言わせないでその場から逃げた私。あの後先生はどんな気持ちだったのか、迷惑だったのか、あとのことなんて何も考えられなかったことを後悔していました。

    「おい!学校はこっちだぞ」
    背中から聞こえた声は間違いなく先生。私は振り向くことも出来ず立ち止まっていました。先生は再び同じことを言いましたが、その声はさっきより近くなり慌てて振り向きました。先生はすぐ後ろに立っていたのです。

    先生は最後まで優しい先生でした


    「新学期からサボる気か?ほら、登校しないと校門閉めちゃうぞ」先生は今までと何も変わらない口調と笑顔で言いました。その顔を見て、切なさが込み上げてくるのと同時に、私が告白したことなどなかったことになっている気がしました。

    生徒からの告白なんて、きっと何も感じないんだ。先生は先生で、生徒なんて恋愛対象にはならないんだ…と思っていたとき、先生の口が開きました。

    「あの時、勇気を振り絞って言ってくれたのにすぐに返事できなくてごめんな…、お前の気持ち嬉しかった。でもな…、実は来月結婚するんだ…。だからお前の気持ちには答えてやれない。でも本当に気持ちを伝えてくれてありがとう」

    私はその言葉を聞いた瞬間振られた悲しみと同時に、どこかスッキリした気持ちが押し寄せ泣いてしまいました。先生は私が泣き止むまで何も言わずにずっと傍にいてくれて、本当に最後まで私が好きになった優しい先生でした。

    どうか先生が幸せになりますように…。こうして私の高校最後の恋愛は切なく幕を閉じました。(18歳/女性/高校生)