あなたは相手が話をしやすい人?(植西 聰)
心理学者のマタラッツオの実験によると、私たちは、うなずいてくれる人に対しては、長く話を続けるということがわかっています。ただ聴くというのではなくて、大きく「うなずく」という、体を使って「聴く」ことによって、相手は気分よく話し続けてくれます。マタラッツオによれば、何もしないと一般的にはすぐに話が途切れてしまうのに、積極的に「うなずく」ことで、長々と話が続くというのです。
また、質問を入れるというのも相手の話をじっくり長く聴くには必要なことです。所々に、ちょっとした質問をはさむと、相手は話しやすくなるのです。また、相手の話すことに対して反論したり、話をさえぎったりしてはいけません。一度でもそういうことをすると、相手は話をやめてしまうのです。
このようなことに注意して相手に話をさせることで、成功した人がいます。その人は、フリーの経営コンサルタントでした。まだかけ出しのころの話です。彼は、毎日毎日、自分のセミナーの売り込み営業をしていました。ある大手スーパーのチェーン店で、運よく年配の会長さんと話すチャンスが訪れました。もしも彼が相手を立てないタイプなら、自分のセミナーはこんなにも素晴らしいものだと、必死に売り込みにかかったでしょう。
自分のことだけをしゃべり続けることは、「相手を立てる」こととは、まったく逆のことになります。彼は、その年配の会長の話を徹底的に聞いたのです。「それでどうしたのですか?」「すごいですね」
と一心に聞き続けていると、会長は自転車に商品を積んで一軒一軒訪問していた戦後すぐの体験を長々と語ってくれたといいます。
そして数時間後、そのコンサルタントは大きな仕事を会長から受けたのです。「聴き役に徹する」という相手を立てる具体的な行動によって、そのコンサルタントは大きな仕事を得たのです。
※本コンテンツは、出版会社および執筆者の同意を得た上で転載しております。sugoren.com以外での記事の無断転載を禁じます。






















