会社にオトコ探しに来て何が悪い(MAD KAORI)
20代半ば、2年半ほどある取引先を担当した。
そこの担当を外れることになったとき、非常によくしてもらった先方の社員さん♂に聞かれた。
「お前さ、最後だから正直に言えよ。うちの担当をしてた2年半の間、うちの会社のヤツ何人と付き合った?」
正直に、「ゼロですが...」と答えたら、「反省しろ」と言われた。
「お前、それは落ち込むべきところだぞ。...本当に誰にも口説かれなかったのか?」
「...はい」
「...ま、気にするな。お前は、仕事ができるから大丈夫だ」
大丈夫って何が? 明らかに最後は気を遣われた気がする。
ちなみに彼の名誉のために言っておくが、セクハラとかじゃなく、彼の結婚式にも参列するほどかなり親しくさせていただいたいたので、「仕事だけのオンナになるなよ」と本気で心配してくれていたのだと思う。
今思い返しても、社外の人にまでそう言わしめるくらい、20代のアタシは職場で"オンナ"を消していたのだった。
昔のドラマでよくある台詞。「あいつオトコ探しに会社来てんだよ」。
20代の頃は、会社でそう言われるのは不名誉なことだと感じてた。だからこそ、「アタシはそうじゃありません」オーラを必要以上に出しながら仕事をしていた。
でも最近になって気付いたことがある。
絶世の美女ではない、もしかしたら平均の凡女でもないアタシが一目ぼれをされることは、まずないと言っていい。だから恋をするには、人柄を知ってもらうしかない訳で...。となると、職場って結構大事なんじゃないかと。
だって、合コンやらパーティーなどで初対面の人と知り合って、人柄を知ってもらって、好感を持ってもらって、結婚にこぎつけるのって、道のりとしてはとても長い。
そもそも二度目に会うところまでたどり着くのが、まず大変。
アタシ、ここらで職場での立ち振る舞いを変えるべきなのではなかろうか。
...そんなこんなをK先輩に相談してみた。
「オレがお前と合コンで出会ったら?
そんなの決まっている。お前と積極的に二度目に会う理由はない」
K先輩、その口の悪さ、いつか刺されますよ...。
「長年一緒に仕事をしてきた経験上、お前がいいヤツなのは分かってる。そんなお前をカワイイと思うヤツもいるだろう。だけど合コン向きではないのは確かだ」
腹は立つが、第三者の意見は、迷いを断たせる力がある。
となるとやはり、一目ぼれしてもらえる人間ではない以上、内面に好意を持ってもらうしかない。そんな人にとって、24時間のうち最低でも8時間は過ごす会社は、めちゃくちゃ大事な場所ってことなのだ! しかも仕事をしつつ男探しもできるから、時間も有効活用できて一石二鳥。それに、よく考えてみると、唐沢寿明と山口智子、反町隆史と松嶋奈々子、小雪と松山ケンイチ、絶世の美男美女だって実は職場恋愛で結ばれている。はたまた、「会社にオトコ探しに来ているのか!」なんてことを言いがちな中高年のオジサンたち。よくよく聞いてみると、奥さんは元同じ会社ってケースが少なくない。なんだ、結局「オンナ探し」に会社に来てたんじゃん。
決めた! アタシ、これから会社にオトコ探しに来ることにします!
そんな宣言とともにアタシは30を越えて「ビジネスとプライベートは別」なんて妙に肩に力が入っている感じが、逆にイタいということにも気付いたのです。取引先の社員♂さんの、「反省しろ」にも、そのニュアンスが含まれていたに違いない。自省も含め30代は、そこまでかたくなにならなくてもいいんじゃないか。
それに20代の頃は、オトコ探し感が全面に出ると、同僚男性から仕事仲間として認められにくいときがある。
それは企業がオトコ社会色をまだ残す以上、無視できない事実。
だけど、30歳を過ぎて思った。経験と実績が伴いはじめたからか、必要以上にそこを気にしなくても大丈夫になってきたのだ。多少オンナ度が出ても、ちゃんと仕事仲間として対等に見てもらえるようになる。
つまり"オンナ"ではなく"ヒト"として対峙してもらえるようになってくるのだ。だから30代になって、会社での居心地はどんどん良くなってきた。これは20代のガンバっている女子たちには朗報でしょ。
30オンナのみなさん、安心して、職場でオトコを探しましょう。
ただし、1点だけ注意を。
社内外恋愛盛りだくさんだった挙句、独身オンナの諸先輩、会社にも沢山いますが、
本人が意図するしないに関わらず、周
囲が勝手に気を遣う。気を遣われる存在というのは、やっぱりイタいんですよね。これは避けたい。基本は、コッソリ。これだけは守りたい。
だからね、取引先の社員♂さん。
2年半の間何もなかったと言いましたけど、そこはホントのところは内緒ですから。
「つまらない見栄、張るなよ」
...K先輩、ホントいつか刺しますよ。
掲載書籍:「30オンナ入門: イタくないオトナになるための」(MAD KAORI)
※本コンテンツは、出版会社および執筆者の同意を得た上で掲載しております。






















